過去の名作 令和版

過去の名作を令和版に変えてみた:星の王子さま

「名作」と聞くと、どこか難しそうで身構えてしまうことはありませんか?

 

『羅生門』や『坊っちゃん』といった小説だけでなく、

『桃太郎』や『竹取物語』のような昔話、さらには日本各地に伝わる逸話の数々。

 

これらは、教科書や昔話集で目にしたことがあっても、

内容がなかなか頭に入ってこない、そんな経験を持つ人も多いのではないでしょうか。

 

それもそのはず。

これらの作品が生まれた背景には、今とは異なる時代の価値観や表現、

独特の暮らしぶりが色濃く反映されているからです。

 

なんとなく意味は分かっても、

登場人物の行動や物語の展開に現代とは違う違和感を覚えることもあるでしょう。

 

そこで、このブログでは「過去の名作を令和風に変えてみた」と題し、

名作の数々を現代に置き換えて紹介していきます。

 

小説、昔話、逸話──それぞれの物語を、

現代の若者や家族、日常生活を舞台にしながら、新しい視点で楽しんでみませんか?

 

名作が持つテーマの普遍性は、いつの時代も色あせることがありません。

 

令和の時代に響く新たな形で、

名作の奥深さと楽しさを一緒に再発見していきましょう!

 

星の王子さま あらすじ(原作)

 

物語は、砂漠に不時着した飛行士(語り手)が、小さな星からやってきた「王子さま」と出会うところから始まります。

王子さまは自分の星を離れ、他の星々を旅してきた経験を語り始めます。

彼は、小さな星でバラを育て、愛していましたが、その愛を正しく理解できずに旅に出ました。

その旅の中で、奇妙な大人たち(権力に執着する王様、数を数える実業家、灯台守など)に出会い、人間の愚かさや複雑さを目の当たりにします。

地球にたどり着いた王子さまは、キツネと出会い、「大切なものは目には見えない」という教えを学びます。

そして、自分の星に残してきたバラを愛していたことを悟り、星に帰る決意をします。

最後に、王子さまは星へ帰る方法として蛇に噛まれることを選び、飛行士に別れを告げます。

飛行士は彼との出会いを胸に刻みながら、物語を語り終えます。

 

テーマ

  • 愛と責任: 王子さまとバラの関係を通じて、愛することの責任や深さが描かれます。
  • 純粋さと大人への批判: 大人の世界が失った純粋さや、子ども時代の感性の大切さが伝えられています。
  • 見えない価値: キツネの言葉「大切なものは目には見えない」は、物語の核心となるメッセージです。

 

この物語は、子ども向けの童話として親しまれる一方で、哲学的なテーマを含み、大人にも深い感動を与える名作として愛されています。


 

令和版 星の王子さま

 

田中航平(33歳)は、大都市の大手企業で営業職をしていたが、数字や結果ばかり求められる仕事に疲れ果て、退職。

転職活動を始めるが、条件ばかり気にして本気でやりたい仕事が見つからず、途方に暮れていた。

 

ある日、思い立って訪れたハローワークで出会ったのが、職員の星野翁二だった。

 

第一章: 星野翁二との出会い

 

「星野翁二(ホシノオウジ)です。星野でも翁二でも好きに呼んでください。」

中年男性の穏やかな笑顔と、どこか飄々とした態度に、航平は最初、彼を軽く見ていた。

「早く条件のいい仕事を見つけたいんですけど。」と急かす航平に対し、星野は言う。

「仕事を選ぶのに焦っちゃいけない。まずは、いろんな現場を見てみないとね。」

航平は半信半疑ながら、星野の提案で職場見学の旅に出ることに。

 

第二章: 職場見学の旅

 

1. 大手IT企業

星野が最初に案内したのは、大手IT企業のオフィスだった。

最新技術に囲まれ、忙しくも活気ある社員たちが働いている。

「ここなら、やりがいも効率も申し分ないですね。」と航平は思うが、昼休みにこっそり聞いた社員の声に驚く。

「数字に追われるだけの毎日で疲れるよ。でも辞めたら次があるかわからないしね。」

効率的な環境の裏で、息苦しさを抱える人々を見て、航平は違和感を覚える。

 

2. 地域密着型の中小企業

次に訪れたのは、田舎町の小さな製造会社。

地元住民の信頼を得て、地道に地域に根付いた商売をしている。

社員たちは、効率や利益よりも「お客さんのありがとう」を大切にしていた。

しかし、航平はここを見て鼻で笑った。

「効率が悪いし、地元に縛られるなんて考えられない。」

星野は微笑みながら言う。

「本当にそうかな? ここで働く人たちは、誰よりも自分の仕事に誇りを持っているよ。」

 

3. 農家と職人の世界

最後に訪れたのは、自然と共に働く農家と、ものづくりに専念する職人たちの現場。

黙々と作業に集中する人々を見て、航平は「これも悪くないかもしれない」と思うが、自分にはそこまでの覚悟がないことに気づく。

 

第三章: 狐塚洋子との出会い

 

地域密着型の中小企業で出会ったのは、「狐塚洋子」と名乗る上品で凛とした雰囲気を持つ女性だった。

社員たちは「洋子さん」と親しみを込めて呼び、誰もが彼女に一目置いている様子だった。

 

航平が戸惑いながら挨拶をすると、洋子はにっこり微笑んで言った。

「いらっしゃい。星野さんから話は聞いてるよ。ちょっと疲れてるけど、目はしっかりしてるね。」

軽やかで核心を突く言葉に、航平は一瞬たじろいだ。

「ここには40年いたの。最初は私も、こんな小さな会社なんてつまらないと思ってたのよ。」

洋子は手元のお茶を湯飲みでゆっくり回しながら続けた。

「でもね、働いてるうちに気づいたの。仕事って、誰かの役に立つことなのよ。その誰かの笑顔を見るのが、一番の報酬なんだ。」

航平はその言葉に戸惑いを覚えた。

これまで自分が働く上で考えていたのは、効率や成果、そして収入だけだったからだ。

「でも、効率が悪くても報酬が少なくても、それで満足できるんですか?」と思わず聞いてしまう。

洋子は少し目を細め、静かに答えた。

「若い頃はね、数字や効率を追いかけたくなるものよ。でも、長く働いてみると、それじゃ心が満たされないのよ。たとえ小さな仕事でも、そこで『ありがとう』って言われる瞬間がある。それが何よりのやりがいなの。」

航平は彼女の言葉に心のどこかが揺さぶられるのを感じたが、まだ納得はしきれない。

彼の頭にはまだ「効率がすべてだ」という思いが根強く残っていたからだ。

洋子はその迷いを見透かしたように笑った。

「焦らなくていいわ。自分が本当に何を大切にしたいのか、ゆっくり考えればいいの。答えなんて、そんなに急に出るものじゃないから。」

彼女の言葉は、航平の心に小さな種を残していった。

 

第四章: 星野の問いかけ

 

見学を終えた航平と星野は、ハローワーク近くの公園のベンチに腰を下ろしていた。

夕日が空を染め、どこか物語が一区切りを迎えたような静けさが漂っている。

星野は少し間を置いてから、穏やかに問いかけた。

「さて、君はどんな職場で働きたい?」

航平は少し考え込んでから口を開いた。

「正直、まだわかりません。でも……仕事って、ただ稼ぐだけじゃないのかもしれない。」

その言葉に、星野は満足げに微笑んだ。

「いい答えだよ。君が心から選んだ仕事なら、どこでも輝けるよ。完璧な職場なんてない。

でも、自分の価値観に合った場所なら、幸せを見つけられる。」

 

しばらくして、星野はふと立ち上がり、腕を伸ばしながら言った。

「実はね、僕もそろそろこの仕事を辞めることにしたんだ。」

航平は驚いて星野を見上げた。

「えっ、辞めるんですか? 星野さんみたいな人がいなくなったら、困る人がたくさんいるんじゃ……。」

星野は肩をすくめて笑った。

「そりゃあ、少しはそう思う人もいるかもしれない。でもね、僕がいつまでもここにいたら、新しい人にチャンスが回らないだろう? それに、僕も次の旅に出る準備をしなきゃいけないんだ。」

「旅ですか?」航平が半信半疑で問い返すと、星野は手をポケットに入れたまま遠くを見つめた。

「そうさ。僕がこの仕事をしてきたのは、人が新しい一歩を踏み出す手助けをしたかったから。でも、それは何もハローワークだけの話じゃない。これからは地元で若い人たちと一緒にイベントを企画したり、趣味のカメラを使って地域の魅力を発信してみたり、そんなことをしてみようかなと思ってる。」

「でも、そんなので満足できるんですか?」航平は思わず本音を漏らした。

「仕事ほど充実感があるものって、そう簡単に見つからない気がしますけど……。」

星野は少し笑いながら、航平の顔をじっと見つめた。

「航平君、人は仕事だけで生きてるわけじゃない。仕事は生きるための手段の一つだ。でも、生きるってのはもっと広くて深いものだよ。辞めるってことは終わりじゃない。むしろ、自分がどんなふうに生きたいかを考える最高のチャンスなんだ。」

航平はその言葉を聞き、少し戸惑った表情を浮かべた。

自分にとって仕事とは、生活のためのものであり、それ以外に何かをする時間や余裕を考えたことがなかった。

「僕には、まだよくわからないです。辞めた後に何をしたいかなんて、全然思いつかない。」

「それでいいんだよ。」星野は微笑んで言った。

「思いつかないなら、まずはやりたいことを探す旅をすればいい。やってみてダメならまた別のことをすればいい。それが自由ってことさ。」

星野はふと立ち上がり、柔らかく笑った。

「さあ、そろそろ行こうか。君の次の一歩を見つけるのは、君自身だ。」

夕陽の中、星野の背中はどこか力強く見えた。

その姿を見送りながら、航平は胸の中に小さな灯がともるのを感じた。

それはまだ小さく、ぼんやりとしていたが、確かに自分をこれからどこかへ導いていくような感覚だった。

航平は心の中で小さくつぶやいた。

「僕も、自分だけの旅に出てみるか……。」

 

新しい一歩

 

航平は最終的に、地元の中小企業で働く道を選ぶ。

かつては毛嫌いしていたその環境で、人とのつながりや感謝を感じながら働く日々が始まった。

星野の言葉を胸に刻みながら、航平は思う。

「働くことは、自分と向き合うことだ。そして、誰と、どこで働くかが人生を変えるんだ。」

 

令和版 星の王子さまとは

 

「令和版 星の王子さま」は、現代社会の働き方やキャリア観をテーマに、『星の王子さま』の哲学を再解釈した物語です。

過酷な仕事環境に疲れた主人公がハローワークの職員・星野翁二に導かれ、さまざまな職場を訪れることで、「仕事とは何か」「生きる上で本当に大切なものとは何か」を探す旅に出ます。

原作の「目には見えない大切なもの」というテーマを、現代の「効率」「収入」「人とのつながり」といった仕事の価値観に置き換え、働くことの本質を問いかける物語です。

現代のキャリアに悩むすべての人に向けた、新しい視点を提供する作品です。

 

 

 

 

今日が誰かにとっての一番良い日でありますように。

 


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ABOUT ME
ごりすけ
ごりすけの成長ブログのオーナーであり、「行動+継続=成長」がモットーのメインブロガー。 大阪府在中で妻と息子と娘の4人家族。普段は小さなクリニックの事務で働いています。 毎週金・土・日に様々な記事を投稿していきます。