たばこ屋さん、最近は本当に見かけなくなりましたよね。
昭和から平成初期にかけて、町のあちこちに小さなたばこ屋が佇んでいて、
商店街を歩くとタバコのパッケージが並ぶガラスケースや、
風情のある木のカウンターが目に留まったものでした。
子どもだった私にとって、たばこ屋は不思議と大人の世界を感じさせる場所でした。
親からお金を預かり、「ちょっと行っておいで」と頼まれて買いに行く道すがら、
おつりを握りしめて「帰りは駄菓子屋に寄ろう」と心を弾ませるのが何とも嬉しかったものです。
今ならとても考えられませんが、当時は年齢確認なんてなく、
小学生でも普通に店先に立って「マイルドセブンをください」と言うのが当たり前でした。
懐かしい記憶の一部ですね。
そんなたばこですが、みなさんは吸いますか?
僕は元々吸いませんが、少し前と比べても、喫煙者は本当に減りましたよね。
僕の父親もかつては吸っていましたが、値上がりを機にやめてしまいました。
実際、2010年頃にたばこ価格が大きく引き上げられてから、
世の中でも喫煙者が減り始めた印象があります。
今では、飲食店や会社での喫煙はほとんど見かけません。
昔は事務職員が上司の机に置かれた灰皿を掃除する、なんてことも普通にあったそうです。
時代の変化ですよね。
さて、たばこがなくなると喜ぶのは非喫煙者の皆さんでしょうか?
実は、「たばこがなくなると困る人」は、喫煙者だけではないのです。
たばこの税金ってどこに使われているの?
たばこを買うときに支払うお金、そのうちいくらが税金かご存じですか?
たばこには、国たばこ税、地方たばこ税、たばこ特別税、消費税といった4種類の税金がかかっています。
たばこ特別税は、旧国鉄(現在のJR)の負債や、
国有の森林事業の運営費などに充てられています。
旧国鉄の借金返済には、たばこ1本あたり約1円が使われていると言われるほどです。
また、国たばこ税や地方たばこ税は一般財源に組み込まれ、
教育や福祉といった様々な支出にも回されています。
消費税と同じく、幅広い目的に使われるわけですね。
では、もし喫煙者がいなくなってしまったらどうなるでしょうか?
喫煙者がいなくなると、影響を受けるのは誰?
喫煙者が減るのは健康のためには良いことかもしれません。
でも、たばこ税の収入は年間約2兆円にもなる大きな財源です。
この2兆円が失われると、その分の財源を別で確保しなければなりません。
つまり、増税の可能性も出てくるのです。
たばこが嫌いな人にとっては、
「たばこがなくなる=税金が下がる」とは限らないんですね。
むしろ、失われた財源を補うために、消費税などが上がるかもしれないのです。
そう考えると、喫煙者の減少が自分にも影響する話に思えてきませんか?
「やめたいけどやめられない」理由
健康に悪いと知りながらも、なぜ人はたばこをやめられないのでしょうか?
理由の一つが「ニコチン」です。
たばこを吸うと脳内でドーパミンが分泌され、「快感」や「やる気」を感じます。
この強い快感が癖になり、やめられなくなってしまうのです。
ただし、ドーパミンが出ること自体は悪いことではありません。
ドーパミンは、達成感や楽しさを感じた時など、生活の中で自然に分泌されるホルモンでもあります。
ただ、ニコチンやアルコールといった「無理やり出す方法」に頼ると依存症につながり、
次第に自力では抑えられなくなるのです。
結局、誰が得をしているのか?
たばこは健康に悪い一方で、喫煙者が払う税金が社会に回されている現実もあります。
もしもたばこが1万円になれば喫煙者はさらに減るでしょうが、
2兆円という財源がなくなれば、増税の波が押し寄せてくるかもしれません。
だからといって「たばこを吸ってください」と言うわけではありません。
しかし、たばこ税の仕組みと私たちの生活の結びつきを知っておくと、
普段見えない部分への理解が深まるかもしれません。
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